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走る美術館☆神奈川篇 1-3

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走る美術館神奈川篇 (2011年に見た美術展の記憶をたどってみた)
 
①ポーラ美術館、レオナール・フジタ展
 
温泉地の美術館なんてあまり見る気がしないものだが、箱根のポーラ美術館だけは別だ。印象派から、エコール・ド・パリにかけての画家に集中気味であるのがちょっと物足りないが、収蔵品は充実しているし、建築も面白い。森の中、地中に埋もれたようなかたちの建物は、入ってみるとガラス作りで光にあふれていて気持ちがいい。往く道ずうっと雨に濡れて沈んでいた気分がさっと晴れた。
さて今日のお目当ては、フジタの「小さな職人たち」というシリーズである。

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「小さな職人たち」は、フジタの戦後の作品。15×15㎝ほどのタイルの形を模した小さな絵が約200枚、彼自身のアトリエの壁 を飾っていたという。描かれたのは、ガラス職人、剥製師、刃物研ぎ、床屋、椅子職人、写真家、仕立屋、左官、ペディキュア師、指物師、すみれ売り、小鳥屋、マヌカン、帽子屋、古着屋、風船売り、植物学者等々、パリの街の職人たち。この内、ポーラ美術館収蔵の約100点が展示されていた。「風船売り」も、その一枚。このシリーズ、説明不要の愉しさである。


 
真鶴、中川一政記念美術館
 

真鶴まで来た。お目当てはもちろん、海沿いの道にある食堂で鯵のタタキを・・・、
ではなくて海沿いの道を抜け林の中を進むと見えてくる中川一政の個人美術館である。重鎮の画家である。薔薇の絵と、真鶴・福浦等の風景画が有名である。しかし、いまどきの年少さんはこんな絵は見ないのだろうか。森閑とした木立のなかの美術館には人影も薄い。
建物は、新国立劇場を設計した柳澤孝彦の作品でこちらも重鎮の建築家であるが、林の中に埋もれるように立つこの美術館は建築としては小品である。しかしその、ひっそりとした佇まいがここちよい。おまけに裏に回ると、伊豆半島と海原が広がるときては。


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中川さんの薔薇の絵はあくが強くて、見る人ではっきり好みが分かれるのかもしれない。
でも、この最晩年の薔薇の絵は、ずいぶんと色も輪郭も薄れて来て乱れてきて枯れてきて、なんだかいいなと思うのでありました。

おまけは中川さんが装丁した『あ・うん』の画像である。
これを読みながら真鶴まで来た。
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③平塚市美術館、
鳥海青児展

平塚へ行く。今日のお目当ては七夕まつり、ではなくて「鳥海青児」(1902-1972)である。
鳥海は岸田劉生や萬鉄五郎の感化を受け画家として出発したという。しかし、後年に辿り着いたのは、こんな独自の画風であった。たしか州之内徹の本で知ったのだったか。いつかまとめて見たいと思っていたのである。

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「黄色い人」(1956



鳥海の絵は、なんたってこの強力なマチエールが魅力だと思う。
そしてそれから「メキシコ」をテーマにした作品も幾つかある。これがもうひとつの楽しみなのでありました。
(左「昼寝するメキシコ人」1964、右「メキシコ風の西瓜」1961)

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