筒井康隆の掌編で 「怪段」 というのを読んでいたのだが。
(リリカル短篇集『佇む人』に収録)
これがちっともリリカルではなく、もちろん笑えるスラプスティック譚でもない。
ホラー仕立てではあるけれど、ただ単に<階段の怪談>と駄洒落てみせただけなのだな。あっけないこと。
気分なおしに月見で一杯と行きたいものの、月なんか出ていゃあしないし時も早い。
仕方がないので<階段の絵>でも眺めることにした。
最初はオーソドックスに、ルノワールを二枚(1876)。
ルノワールは何をとってもいいよねぇ。でも、あまりに王道で、違ったものを見たくなるのは仕方がないか。
ということで、次はレンピッカの二枚(1926,1925)。
なんとルノワールとほとんど同じポーズと構図である?!
しかしモデルのようなポーズを取られても困る、という見方もある。
なので、15世紀まで戻ることにすると、わたしの大好きなヤン・ファン・エイク(「宰相ニコラ・ロランの聖母子」、1435)である。この絵、部分的に引き伸ばしてみると、右の画像のように小さな階段があって(なんか、いいよね)、さらにその上で遊んでいる二人の子どもに注意すると・・・この二人は、ファン・エイク兄弟なのだという(説もある)。
見過ごしそうなほど小さな階段 、といえばここにもある。
こちらも大好きなクラナッハ(父)の「聖ヒエロニムスに擬したブランデンブルクの枢機卿アルブレヒト」(1526)である。おなじように部分的に拡大すると、ほうらライオンの向こうに階段が見える。しかも、何処へも繋がらないような奇妙な階段! なんか好きだなぁ。
(続く)
★階段の絵、①